中村研究科長”東京大学大学院情報理工学系研究科
研究科長 中村 宏 (NAKAMURA, Hiroshi)

世界は今大きく変革しており、情報技術の進展がその中心的な役割を果たしています。人と人あるいは人とものとのインタラクション・連携は、社会活動の基本です。この実世界における相互連携の多くが情報技術により実現されており、その技術進展により、私たちの社会は便利になりました。今や私たちは処理しきれないほどの情報の海の中にいます。それは、実世界から収集・処理された正しい情報だけではなく、誤った情報、AIが生成する情報などが混ざり区別することのできない情報の海です。その中で、情報技術にたずさわる私たちは何をなすべきなのかが常に問われています。

本研究科が対象とする情報理工学は、情報技術を用いたよりよい社会を設計し実現する学術です。本研究科はそのために必要となるイノベーションを創出する場を目指します。そのためには、研究者や学生など構成員個々の専門知識、創造的思考能力などの創造性と、異なる視野、思考、専門性、価値観、文化などが集まることによる集団としての多様性の両方が必要でしょう。両方を兼ね備えた場で、各分野における学術を深化させ、分野を超え文理を越えた幅広い視点で問題の本質をとらえ、最先端の情報技術を駆使して問題を解決し社会へ応用展開する、という教育と研究を行うことで、個々の創造性が多様性の中でつながり、イノベーションが創出され、イノベーションを創出できる人材が育つという好循環の実現を目指します。

この理念のもと、本研究科には、6つの専攻(コンピュータ科学、数理情報学、システム情報学、電子情報学、知能機械情報学、創造情報学)、新たな社会システムやサービスの具現化を目指すソーシャルICT研究センターがあり、また学内の複数部局が参加して分野横断型研究を推進する5つの連携研究機構(次世代知能科学研究センター、数理・情報教育研究センター、バーチャルリアリティ教育研究センター、情報セキュリティ教育研究センター、及び知能社会創造研究センター)の主管部局となり、その活動を推進しています。

変革の時代の中で、本研究科が情報理工学のイノベーション創出の場であることは社会からの使命だと考えています。意欲のある学生の皆様、ぜひこの場にご参加ください。また、産学の皆様も、連携を通して是非私たちの場にご参加ください。よりよい社会の実現へ向けて。

2024年4月
情報理工学系研究科長 中村 宏

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