東京大学データサイエンティスト養成講座(UTokyo Data Science School、以下DSS)は2022年6月30日に「データサイエンス・AIバブルは続くのか?」をテーマとして第1回DSSシンポジウムを開催しました。
シンポジウムは情報理工学系研究科の須田礼仁研究科長の開会の挨拶に続き、山西健司教授(数理情報学専攻)と、大西立顕教授(立教大学大学院)による基調講演で幕を開けました。
基調講演に続いては久野遼平 講師が「DSSの歩みと今後」と題し、DSS第2期にあたる、今年度以降のプログラムではDSP(DSSプラクティカム<Practicum>教育)に取り組むとして、従来から行っていた産学連携をより拡充し、企業との直接の交渉を通じて課題設計など"What"から考える実践的データサイエンス教育プログラムをさらに推進することを説明しました。
シンポジウムの後半は、産学の現場で目覚ましく活躍するDSS修了生の南賢太郎さん(株式会社Preferred Networks)、宮口航平さん(IBM東京基礎研究所)、また実際にDSSに参加しデータを提供している企業6社(株式会社電通、コマツ:株式会社小松製作所、株式会社みずほ銀行、楽天カード株式会社、トヨタ自動車株式会社、GMOペイメントゲートウェイ株式会社)による講演が行われました。
参加企業の講演では企業とDSSとの産学連携で生まれた成果の紹介に加え、企業におけるデータサイエンティストの業務や求められる役割、また学生時代からビジネスドメインに触れることの重要性がビジネスの第一線の視点から述べられるなど、データサイエンティストを目指す学生にとって大いに参考になる話題が続きました。
DSSは2016年からスタートした情報理工学系研究科が主導する教育研究プログラムで、2022年に7年目を迎えて初めてのシンポジウム開催でしたが、今回のシンポジウムには189名(オンサイト78名、オンライン111名)の参加があり、会場では文系分野の大学院生からの質問もでるなど、幅広い聴衆にとって有意義なシンポジウムとなりました。
DSSは情報理工学系研究科に限らず、東京大学在籍の全ての大学院生を対象としています。また同時にデータサイエンスの実践教育に欠くことのできない、ビジネスの現場に蓄積されたデータと課題を提供いただける企業も募集しています。
プログラムの履修方法、またプログラムへの企業の参加方法など詳しくはDSSのウェブページでご確認ください。
開会の挨拶に立つ、須田礼仁研究科長。
今回は会場に人を入れてのシンポジウムとなったため、感染症対策として登壇者もマスクをつけての登場となった。
「データサイエンス実践教育の現状と将来」と題した基調講演を行った山西健司教授はデータサイエンティストブームが始まり約10年たつ現在でもデータサイエンティストがまだ必要とされていることを、雇用統計などのデータを使いながら解説。それに加え、社会で求められるデータサイエンティストになるためには、知術的知識など"How"の部分に関する能力だけではなく様々なドメインのデータから価値を生み出す"What"の部分の能力も大切として、企業の抱える課題をデータとして活用して行う実践教育の現状を語った。
基調講演を行った大西立顕教授は2020年3月まで情報理工学系研究科に在籍し、DSSの創生期を支えた。現在は立教大学大学院で社会人も含めたデータサイエンティスト養成に力を注ぐ。
自身の研究室で法律とデータサイエンスの融合研究を行った経験から「文系分野からも多くの大学院生にDSSに参加してほしい」と語る久野講師。学生自身が関心を持てる新しい課題を見つけてくれることを期待している。
第一回データサイエンティスト養成講座シンポジウムのプログラムはこちらからご覧いただけます。
関連リンク:
東京大学データサイエンスティスト養成講座(Data Science School)Webサイト
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