指で触っている情報を元に新感覚の入力装置
システム情報学専攻の篠田准教授らが見通し

 システム情報学専攻の篠田裕之准教授、岩本貴之研究員(学術研究支援員)らは、指でとらえた触感や触る動作をもとに、新しい入力装置に応用する研究を進めている。指の動きなどを指輪に取り付けた加速度センサーで検出することによって、特殊なパッドなどを必要としないマウスなどに適用できる見通しを得た。

使用者の触動作、触覚に対応した入力装置として期待される(指輪型触覚インターフェース) 使用者の触動作、触覚に対応した入力装置として期待される(指輪型触覚インターフェース)

 指で何かに触ったとき、指の表面がどのように変形しているかを知ることが、指の触覚研究を推進する際のスタート点になる。指が感じている触覚と同様の情報を取得しようとする場合、たとえば、対象物と皮膚との接触面にセンサーを置いて計測する方法が考えられる。しかし、その方法では触感に違和感を生じてしまう。

 岩本研究員は、その手がかりとして、指を対象物に接触・摩擦する際に、指の根元においても振動が観察されることに注目した。指を導波管のように使って、触動作に伴う振動を、指の根元で計測することによって、対象物との接触・摩擦に伴う皮膚表面の変形を間接的につかむことを考えた。そこで、プラスチック製の指輪に3軸加速度計をつけて計測デバイスを構成し、左から右になぞり動作を行った際の加速度波形を観測した。その結果、なぞり動作が始まる前は、変化はほとんど見られないが、対象物に指が当たった瞬間にインパルス状の波形が生じ、なぞっている間は高周波成分の振動が起きているのがわかった。

 加速度計を用いたこのデバイスは、加速度から指の動作の速さを計算(積分)し、さらに、この速さから位置を計算するために、センサーのわずかな誤差が最終的に大きな誤差になりやすい。これを解決する目的で、指が対象物をなぞっているときだけ積分計算をするアルゴリズムを採用した。これによって、誤差を抑えることができたという。

 篠田准教授は「研究は初期のレベルだが、この成果を生かすと、触っている情報を利用した新しい感覚の触覚インターフェースが可能。パソコン画面と連動した使い勝手のよいマウスなどに期待できる」とし、改良を行ったうえで実用に結びつけたいと話している。

ISTyくん