東京大学大学院情報理工学系研究科の山崎隼汰准教授は、香港中文大学(深圳)データサイエンス学院の林正人校長講座教授と共同で、量子情報理論における重要な未解決問題だった「一般化量子Steinの補題」(Steinの補題と呼ばれる統計に関する補助的な定理を量子の世界に広げて一般化したもの)を証明し、量子リソースの最適な変換効率に関する普遍的な法則を定式化しました。
これは、量子情報処理に役立つリソースの識別可能性や変換可能性を統一的に解析できる理論の枠組みを構築するものです。
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熱力学での状態変換(左)と量子情報処理のリソースの変換(右)
この成果は、今後発展が見込まれる量子コンピュータによる量子計算や量子通信など多様な量子情報処理の性能や限界を定量的に解析できる普遍的な枠組みとして役立つことが期待されます。また「量子の世界で何が可能で何が不可能なのか」という根源的な問いにも新たな知見を与えるものです。
この研究成果は、英国時間2025年10月29日午前10時(日本時間10月29日19時)にNature Physicsに掲載されました。
研究成果についての詳細は【情報理工_プレスリリース_20251029】をご覧下さい。
雑誌名:Nature Physics
題名:The generalized quantum Stein's lemma and the second law of quantum resource theories
著者名:Masahito Hayashi, Hayata Yamasaki*
DOI:10.1038/s41567-025-03047-9

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