プレスリリース

2021/11/24

量子コンピュータでも解読できない安全な暗号技術を開発 ~ データサイズが小さく効率的なデジタル署名 -QR-UOV- ~

量子コンピューターは様々な分野での実用化が期待され研究開発も盛んですが、その一方大規模な量子コンピューターが実現した場合にはその計算能力の高さから現在利用されている主要な暗号技術が解読され、安全性が損なわれることが 知られています。
今回、東京大学大学院情報理工学系研究科の高木剛教授(数理情報学専攻)、古江弘樹さん(数理情報学専攻 博士課程(後期)1年)と九州大学、日本電信電話株式会社との共同研究グループは、量子コンピュータでも解読できない新たなデジタル署名技術を開発し、既存の方式と比較して約3分の1まで公開鍵のデータサイズを削減することに成功しました。
この度開発したデジタル署名技術「QR-UOV署名」は、多変数多項式問題の難しさを安全性の根拠としており、公開鍵および署名のデータサイズが小さいことが特徴で、量子コンピュータの時代においても安全かつ効率的な暗号技術として、個人認証やデータ保護などへの利活用が可能となります。
米国標準技術研究所NISTは量子コンピュータに対して安全な暗号方式の標準化プロジェクトを進めており、デジタル署名技術に関しては2022年に再公募を行う計画を発表しています。
今後研究グループは効率的なデジタル署名方式であるQR-UOV署名を、NISTの暗号標準化プロジェクトに応募し標準規格への採択を目指します。
この研究成果は、国際暗号学会主催の国際会議「International Conference on the Theory and Application of Cryptology and Information Security(Asiacrypt 2021)」(2021年12月6日‐10日 オンライン開催)で発表します。

図1.提案方式の剰余環による公開鍵データサイズの削減

図1.提案方式の剰余環による公開鍵データサイズの削減

詳細は【情報理工_プレスリリース_20211124】をご覧下さい。

ISTyくん