触覚付き人型ロボットで30kgの荷物を持ち上げ
國吉教授グループ、人並みの動作へ一歩近づく

 30kgの荷物を持ち上げることができる、2本足の人型ロボットが公開された。触覚によって重量物を巧みに持ち上げたり、動かして運ぶことができるので、将来は人間にとって辛い力仕事を、賢く、安全に肩代わりしてくれそうだ。開発したのは、情報理工学系研究科知能機械情報学専攻の國吉康夫教授らのグループ。横になった66kgの人間に似たダミー(模型)もわずかに浮かせながら、サッと水平移動させることもできる。これまで、人型(ヒューマノイド)ロボットで持ち上げられる重量物は10kg未満だったが、独自の仕掛けと工夫によって大幅に更新した。

 このロボットは身長155cm、体重70kg。全身を柔らかい人工皮膚で覆い、そこに1800点以上の触覚センサーを埋め込んだ。各センサーによって荷物の位置を触覚で感じながら持ちやすいように移動させたり、無駄なパワーを使わずにすむように持ち上げ方を考えて、瞬発力で一気に持ち上げるようにした。フォークリフトのように力ずくで持ち上げようとすると、大きなパワーが必要になるが、人間と同じように腕と腰をバランスよく協調させて動きを巧みに制御する点が特徴。

 ロボットとセンサーは、國吉教授、知能機械情報学専攻の大学院生の大村吉幸さん(博士課程3年生)らと産業技術総合研究所の知能システム研究部門が共同で開発した。触覚を使って物を持ち上げるコツをロボットがつかめるようにする第一歩で、今後は視覚を導入して、床から荷物を持ち上げて台の上に置く、持ったまま歩く、人体を抱き起こすといった動作能力を高めることに力を入れる考えだ。

30kgの箱を、触覚を使って巧みに持ち上げる
30kgの箱を、触覚を使って巧みに持ち上げる
ISTyくん