東京大学バナー(中) 東大 アラムナイ 寄付のご案内
| ENGLISH | サイトマップ |
東京大学 大学院 情報理工学系研究科
交通アクセス・学内地図
訪問者別ご案内
受験・進学希望の方
在学生の方
留学生の方
(For International Students)
企業・一般の方
修了者の方
高校生の方
高校教員の方
教育と研究
研究科案内
各専攻・教員の紹介
 
コンピュータ科学
  数理情報学
  システム情報学
  電子情報学
  知能機械情報学
  創造情報学
センター
 
ソーシャルICT研究センター
  情報理工学国際センター
  情報理工学教育研究センター
教育プログラム等
 
ソーシャルICTグローバル・クリエイティブリーダー育成プログラム
  グローバル・クリエイティブリーダー 講義
  enPiT
  データサイエンティスト養成講座(領域知識創成教育研究プログラム)
  創造情報学連携講座
  他プログラム
学務関連
 
入学・進学案内 new !
  履修・学籍・諸手続案内
  東京大学学務システム(UTAS)
  学生支援制度
  研究生出願手続き
  科目等履修生案内
受賞
産学連携(R2P/IST等)
情報理工関係イベント
国際交流
(International Cooperation)
工学・情報理工学図書館
公募情報
内部者限定情報
 
ポータルサイト 
  ISTクラウド 
  研究倫理審査・広報 
  科学研究ガイドライン 
  情報倫理ガイドライン
緊急連絡
緊急連絡ページ
関連学部
工学部
理学部
Home > 過去のNews > News
News

ニュース

 2008/10/07
触っていないのに、触った感覚が生じる
篠田研究室が超音波で触覚ディスプレイ
皮膚の表面に力を感じる性質を積極活用

手の位置によってカーソルを操作する、3次元ブロック崩し。
手の位置によってカーソルを操作する、
3次元ブロック崩し。
ボールがカーソル(手)に当たった
瞬間に触覚を提示する。
手の位置は2台のWiiリモコンに
よって3次元的に計測している
超音波によって紙片が押し上げられている様子。
超音波によって紙片が
押し上げられている様子
 システム情報学専攻の篠田裕之 准教授らは、空間中で何も触っていないのに触っている感覚が生じる超音波触覚ディスプレイを開発した。超音波発振子(スピーカー)を多数個並べ、発振子を駆動するタイミングを調整することによって空中に超音波の強弱の分布をつくり、その空間を手で探ると、皮膚の表面に圧力が感じられるようにした。超音波音響放射圧という現象を利用したもので、特殊な装着具を用いることなく触覚を提示できるのが特徴。映画「スターウォーズ」で描かれた、空中に浮かびあがってくる「レイア姫」にも手で触われるようになる。3次元ホログラフィーやHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)による映像提示と組み合わせると、3D映像の操作や臨場感の高いVR(バーチャルリアリティ)空間の生成に効果的。映画やゲームの新しい映像づくりや、製品の設計にも生かされそうだ。

 篠田准教授と岩本貴之さん(現キヤノン)、星貴之(情報理工学博士)さんら篠田研究室が開発したディスプレイは、超音波がモノに当たると力を発生する音響放射圧という性質を利用している。これは超音波の強度が高くなると現れる現象で、研究室ではこの現象を触覚として応用できないかと発想した。星さんらは超音波発振子をアレイ状に324個並べた。各発振子から40KHzの超音波を放射し、発振子を並べた面に対して垂直方向約20cmの高さ(位置)に、円錐状に力を1点集中させる。その位置に手をかざすと、ほぼ1g程度の力が感じられた。

 超音波を集中させるのに用いたのが、フェーズドアレイという制御法。集中させたい位置で超音波振動の正負が揃うように、距離に応じてあらかじめ駆動タイミングをずらしておく方法である。駆動タイミングのずらし方を変えることで、力を感じる位置を自由に変えられるため、手の位置を測っておいて、その位置に力をフォーカスすることもできる。また、力の出る位置は1点だけでなく、広がりを持ったパターンをつくることも可能で、立体映像に合わせた触覚を提示できるのも魅力だ。

 触覚は、実際にモノに触ってはじめて生じる感覚で、視覚や聴覚とは性質が異なる。VRの分野でも触覚ディスプレイ研究が行われているが、いずれの方法も何かしら物体を触ることで触覚を提示している。それに対し、空間中に触っていないのに触った感じが出る今回の手法は、多くの使い方が期待される。たとえば、3次元ホログラフィーや凹面鏡でつくった擬似的な映像に今回の超音波触覚を重ね合わせると、その映像を手で触れるように感じられる。好きなゲームキャラクターといっしょに遊んだり、出来上がりを実寸大で確認しながら、製品の設計や修正をしたりするのに使えそうだ。課題としては、発振子を個別駆動するための回路構成が複雑になる点と、まだ出力が弱い点である。回路の効率化などを進め、実用化の道を探っていく考えだ。



大学院 情報理工学系研究科 お問い合せ先 東京大学