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 2007/10/29
東大・企業連携の「サービスイノベーション研究会」が提言
サービスを科学する“技術基盤の構築”と“人材育成”へ
イノベーション創出めざし「学内研究連携ユニット」立ち上げ

あいさつする武市委員長
あいさつする武市委員長
 “サービスを科学する”という視点に立って、企業と連携して研究活動を展開してきた東京大学産学連携本部の「サービスイノベーション研究会」(委員長:情報理工学系研究科 武市正人教授)は10月12日、1年間の研究成果を提言としてまとめた。サービスの範囲を、情報社会を前提として提供されるサービスに限定して議論したもので、その骨子は、@高品質のサービスを効果的に提供するために、産学官が連携し、サービスを科学するための技術基盤(方法論)を構築する、Aサービス知を体系化し、サービスを科学する心と能力を持つ人材を長期的な視野で育成し、活用することとしている。この提言を受けて、産学連携本部は、学内研究者が研究科の枠を越えて本格的なサービスイノベーションの創出を目指す「学内研究連携ユニット」を立ち上げた。

 提言の内容は2つ。まず、サービスを科学するための技術基盤を構築するために、3項目の研究開発の推進を求めた。(イ)サービスの価値を計測し、可視化し、定量的に評価する技術、(ロ)サービスを分析し、モデル化し、最適化し、実現する技術、(ハ)サービスを効果的に創造し、普及させ、定着させる技術の3点。そして、2つ目の人材育成については、大学はサービスを対象とした新しい学術分野の創成に向けた基礎研究を推進し、サービスイノベーションを指向する教育を行う。産業界は社会の発展と産業分野の変化に対応して必要とされる人材像を描き、そのような人材が活躍できる場を開拓することを掲げている。

 モノづくり日本の次の課題は、欧米が先行しているサービス分野のイノベーション対応とされている。サービスにかかわる経済的価値は、先進国では実質GDPの70%、雇用者数も70%に達し、日本経済についても70%以上をサービス主体の産業で占めている。サービスの創出は、新たな経済的価値を生み出すとともに、行政、医療、エネルギーなどを通じて豊かな社会を実現する土台となるもので、これらサービスを実現する技術は、日本の国際競争力の強化につながり、新しい学術分野を創りだす源泉になる。いわば、社会的、経済的、科学的に大きな意義を持つものと期待されている。

 一方、経済発展や社会基盤づくりは情報技術が支えており、情報技術によるサービスの創出が産業・社会に急激な変化をもたらしている。しかし、サービスの中身はきわめて多様かつ複雑に絡み合っており、サービスの創出が社会にどのような形でイノベーションを与えているかを科学的に捉える手法はまだ確立していない。それを一研究室、一企業で捉えることはむずかしい。そこで、東大産学連携本部は、イノベーション創出を産学連携で行うフィジビリティー研究作業を「Proprius 21 複数企業版研究会方式」として立ち上げ、サービスにイノベーションの必要性を強く認識した企業と東大の研究者による産学連携研究会をスタートさせた。1年余の研究活動の内容が先の提言である。

 同研究会には、東大から情報理工学系研究科、人工物工学研究センター、工学系研究科、情報学環・学際情報学府、先端科学技術研究センターの情報に関する研究グループが加わり、富士通研究所、NEC、日本IBM、日立製作所の4社が参加した。これら企業が求めているのは、サービスイノベーションを具体的に創出する人材である。

活発な議論が行われたサービスイノベーション研究会 活発な議論が行われたサービスイノベーション研究会
活発な議論が行われたサービスイノベーション研究会

 2007年8月に可決した米国競争法(通称America COMPETES Act.)で、サービスサイエンス分野の研究強化が盛り込まれたことでも明らかなように、米国企業もサービス重視の姿勢を打ち出している。たとえば、IBMではサービスビジネスが全売り上げの50%、日本IBMでは70%を超えているという。サービスビジネスは国際経営の中核とも言うべき位置づけにあり、日本企業の国際競争力強化の面でサービスイノベーションへの取り組みは避けて通れない課題となっている。それだけに、企業側は、サービスに対する科学的手法を学び、それをイノベーションに活用できる人材輩出を東大に求めている。サービスを通して社会のイノベーションを導き出すには、提言で打ち出しているように、技術基盤の構築と人材がその両輪であり、実現のカギはまさに人(人材)が握っている。「従来の理科系、文科系という枠組みを超えて、特定の領域で深い知識や技術を持ち、同時に、幅広い見識、視野を持つ人材を育成し、産業界の期待に応えたい」と武市委員長は強調した。そのために、第2弾として研究会に加わった学内の研究グループを核に、より広範な研究者を取り込んだ学内研究連携ユニットを結成し、サービスイノベーションの創出に弾みをつける考えだ。

 1年間の研究会活動の終了後、今後の展開を期してパーティーを開いた。武市委員長は「東大ならではの教育プログラムを構築し、サービスに関する幅広い視野を持つ人材を育成したい。同時に、そうした教育を受け継いでくれる研究人材が登場してくれることを望んでいる」と口火を切った。企業からは「サービスは、企業の国際経営の重要な柱。サービス人材の育成を進める東大の教育力に期待したい」(日本IBM東京基礎研究所長 丸山 宏氏)、「新技術が世の中に根を下ろすには、3回の波が必要といわれている。今回の研究会は第1の波。第2、第3の波がきて、定着することを念願している」(NEC執行役員 中央研究所長 國尾武光氏)、「内外の大学と進めている共同研究は250に上るが、海外の大学はリサーチのコンサルタントも行っている。日本の大学も競争力を発揮するには、そうした視点も必要」(富士通研究所取締役 上原三八氏)といった激励と期待が相次いだ。



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