東京大学を3月31日をもって退職する米澤明憲教授(コンピュータ科学専攻)の最終講義が下記の日程で行われる。
米澤教授は、情報科学分野におけるソフトウェアシステムの基礎理論からシステム開発まで幅広い研究を進めてきた。今日、大量のコンピュータを同時・並列的に協調動作させてシステムを構成することは既に当たり前となったが、まだコンピュータが高価であまり普及していなかった30年以上も前に米澤教授はこのことを予見し、そのような環境におけるソフトウェアの構成原理として「並列オブジェクト」の概念を提唱した。米澤教授は、並列オブジェクトの基礎理論・プログラミング言語の設計・処理系の開発・応用のいずれにおいても、国際的に高く評価されている。
最終講義では、米澤教授は「並列オブジェクト」の研究について触れるのみならず、自身の4年以上にわたる MIT (米国マサチューセッツ工科大学) での留学経験や当時の米国の計算機科学研究の雰囲気、自身が留学にいたるまでの様々なエピソードや留学のノウハウなどについて講義する予定。また、自身の研究室から多くの学生を海外に留学させてきたいきさつや、海外からの留学生に対する博士学位の研究指導についての話題も提供される予定とのこと。
米澤教授は1970年3月東京大学工学部計数工学科を卒業し、1978年2月には米国マサチューセッツ工科大学電気工学および計算機科学博士課程を修了、Ph.D. in Computer Science の学位を授与された。また同年11月には東京大学大学院工学系研究科博士課程を修了し、工学博士の学位を授与された。帰国後、東京工業大学を経て、1989 年 6 月に東京大学理学部教授に就任、2004年4月には東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻教授に就任した。また2006年4月から2010年3月まで東京大学情報基盤センター長を務めた。1999年には、ACM (米国計算機学会) フェローに選出され、2008年には、国際オブジェクト技術協会 (AITO) よりダール・二ゴール賞を受賞、2009年には紫綬褒章を受章した。
米澤教授のより詳しい経歴と業績については以下のwebページを参照のこと。
http://www.yl.is.s.u-tokyo.ac.jp/members/yonezawa/is.kojinshoukai.htm
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