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戦略ソフトウェア創造教育コース報告

東京大学大学院修士課程1年
情報システム工学研究室研究室
小倉 崇

 はじめに

 本年11月から戦略ソフトウェア教育コースに参加した。はじめにその動機、戦略ソフトウェアに対する考えを記し、後に実際に行なった活動報告を行なう。本年度は戦略戦略ソフトウェア作成のための、会議での発表が主な活動であった。

 戦略ソフトウェアについて

 戦略ソフトウェアとは多くの人の生活を一変させる力のあるソフトウェアであると考える.通常のソフトウェアとは異なり,認識行動システムはその性質上ハードウェアと切り離すことができないことが特徴である.また,コンピュータの普及率に比べ,ロボットの普及率は遙かに低くい.その原因として考えられるのが,そのハードウェアのコストが高いことがあげられるが,もうひとつ大切なことがある.キラーアプリとなる,そのソフトウェアも未だにないことである.PCやインターネットであればWWWやE-mailなどがそれであったといえるだろう.それはつまり,人々の生活を変えるような,戦略性のあるソフトウェアが,認識行動システムにおいては,まだ多数埋もれていることでもある.ロボットの普及率を一気に向上させるソフトウェアを書くことが認識行動システムにおける最大の戦略ソフトウェアであると考える.

 活動内容

2、3週に一度活動報告を行っている。現在のところ作成するソフトウェアの提案が主な内容である。各回の詳細を以下に示す。

第1回

自己紹介、研究紹介を行った後、以下のような発表を行った。
多くのソフトウェアが抱える限界として受動的である点をあげた。それはPCとロボットのソフトウェアに共通する問題である。

Feel Field-Feeling (FFF) Software 〜場の雰囲気を読むソフトウェア〜 の提案
  • 現在のPC単体ではハードウェア的に不可能
  • 外界を理解するために多数のセンサが必要(ビジョン・マイク・GPS etc.)
  • 場の理解があって初めてコンピュータに能動的な動作をおこなわせることが可能になるのでは?

FFFに実装したい機能

  • バックグラウンドで常に動作、監視
  • コンピュータの地理的、時間的な場による動作の変化
  • 起動するソフトウェアの場による違いを学習
  • ユーザの状況、意図による動作の変化, モード切り替え


実際に役に立つものができるのか、トップダウンで何をしたいのかを明確にしなさい、という指摘をうけた.

図 1: 提案したFFFの概念図

第2回

FFFがいまいちな印象だったので、他に新しいプログラミング環境の提案を行なった。
認識能力を生かしたソフトウェア例

  • 音声認識
  • バイオメトリクス認証(顔、指紋、虹彩、声紋)
  • ディスプレイ明るさ調節

作成ソフトウェア案1) 外界認識型エージェント(ひたすらしゃべるソフトウェア)

  • カメラ画像などのセンサをみながら動きがあったら、それに応じてしゃべる
  • カメラに人間が映ると、誰だよ?とか聞く
  • 場所を移動すると、動かすなよ、とかしゃべる
  • うるさいところに持っていくと、うるさい、と文句を言う
  • とにかくうるさい

作成ソフトウェア案2) スクリプト言語であるpythonでロボット統合開発環境

  • VRML読み込み、モデル作成、ポーズ作成、動力学シミュレーション
  • open sourceで開発
  • 動力学計算はODEを使用
  • ロボットに興味があるが、知識のない初心者がきがるに扱えるものを作りたい
  • ロボットプログラミングができることに重点をおき、厳密な計算に重点をおかない
  • 奥が深く、簡単すぎない (カルネージハートのようなゲームは簡単すぎる) あくまでプログラミング

プログラミング環境は当り前という意見だった。根本から考え直し、と言われた。

第3回

がらっと変えて、布を扱うロボットの提案を行なった。布のシミュレーション、認識の現状の紹介、ロボットへの応用に関して述べた。
どういう情報を認識する?一年計画でできるチャームポイントは?マニピュレーションはいらない?どういう情報を認識するか?という指摘をうけた.

第4回

布に関してさらにつめた発表を行なった。

  • 部屋にちらばる服、ごみ、バスタオル等を認識、適切に処理するロボット
  • カーテンを開け閉めするロボット

を作る。

布の認識とは?

  • 何か?
  • 3次元形状
  • 特性

地味すぎ.最初はハンカチくらい簡単なものがいい.手品はどうだ?
という指摘をうけた.

図 2: コート掛けロボットのイメージ図

第5回

ハンカチをつかった手品の紹介をおこない、また,HRP-2を用いてマジックの前段階までやらせた.

図 3: マジックデモ

第6回

再び実世界指向プログラミング環境の提案を行なった。
実世界(動力学,干渉等)のシミュレーションが常に行われている環境でプログラムすることができるものを作る。

たとえば,

  • 物体のポリゴンを作ると重力で落っこちてくる
  • 壁,床に反射すると跳ね返ってくる
  • ロボットを動かそうとすると慣性力がはたらく
  • センサ値もシミュレート可能

実際に簡単なプログラムをつくり、デモを行なった。

さらなる発展・展望

壊れる?もしくは,ダメージが表示される
実際のロボット作りの感覚で作れる3D CAD

他の人と違うところを打ち出さないと戦略的とはいえない、という指摘をうけた。

図 4: 通常のロボットプログラミング環境と提案する環境


 おわりに

 今年度は作成するソフトの方向性,内容に関する議論が主な活動であった.次年度は最後に提案したプログラミング環境を作成してゆく予定である.


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