小蛛@義夫 おやなぎ よしお(62歳)
現 職 工学院大学 情報学部 学部長
科学技術計算の高度化のための超並列計算の研究
業 績
学術的新発見や最先端の技術開発のためのコンピュータシミュレーションでは、膨大で複雑な計算を高速に行うことが本質的に重要である。しかし従来スーパーコンピュータに採用されていたベクトル方式では、技術的限界のため大幅な性能向上は困難だった。一方計算方法としては、複雑な問題を端から順に計算する、ベクトル方式に適した方法が用いられていた。
本研究では、超並列コンピュータQCDPAXを構築し、非常に多数のコンピュータの結合により劇的な性能向上を実現する超並列方式のスーパーコンピュータの世界を開拓した。また、複雑な問題に対して単純化した問題を準備し、単純な問題の解を利用して複雑な問題を解くMGCG法などの計算方法を開発し、超並列コンピュータにより複雑な問題を効率的に解くことを可能にした。
本研究により、QCDPAXが構築くされたことにより切り開かれた超並列方式は今やスーパーコンピュータの主流となっている。また、MGCG法などは極めて効率的な計算法として利用されている。
さらに、生命医薬分野や自然言語処理などの分野においても超並列コンピュータが活躍しており、我が国の社会経済の発展及び福祉に貢献している。
主要論文:
「QCDPAX ― an MIMD array of vector processors for the numerical simulation of quantum chromodynamics,」Proceedings of Supercomputing '89,p495-504,1989年11月発表
「領域分割による並列AMGアルゴリズム」情報処理学会論文誌コンピューティングシステム,44巻SIG06号,p9-17,2003年5月発表
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