札幌で8大学の情報系研究科長会議を開催
産学官連携、研究活動の不正防止策など探る

 東京大学、京都大学、大阪大学など8大学の情報系研究科長会議がこのほど(10月20日)、札幌で開かれた。今回は9回目で、産学官連携の効果的な進め方や、ここへきて大きな問題としてクローズアップされている研究活動の不正行為防止などについて意見交換した。

 今会議には、東大など3大学と北海道大学、東北大学、東京工業大学、名古屋大学、九州大学の8大学から、情報系研究科長ら約40人が参加。東大からは武市正人研究科長、石川正俊副研究科長、弦本英一事務部長、黒沢健二係長が、また、文部科学省から研究振興局情報課の星野利彦企画官、高等教育局専門教育課の一居利博課長補佐らが出席した。

 協議事項は、次の5つであった。

 1) 産学官連携の進め方=先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム、ポストCOEなど、教育・研究における大学間および産学官の連携推進が求められている。8大学の情報系研究科でも情報交換を積極化し、知的財産の管理・活用も含めて効果的な連携方策を探った。

 2) 研究活動の不正行為防止=文部科学省所管で不正行為への対応が検討されているが、大学側でも自主的な対応について議論が必要ではないかとの観点から、制度的な問題についても意見交換があった。研究倫理、研究費の適正な利用に向けて、制度上の問題点を文科省等へ意見を述べる機会を積極的に生かすこととした。

 3) 情報系研究科における研究分野と教育分野の最近の変化=社会の急速な情報化に伴い、研究開発と人材育成に対する社会的要請が一段と高まり、各大学の情報系研究科において、研究分野、教育分野がともに変化してきているのではないかという視点のもとに、情報交換、意見交換を進めた。

 4) 電子情報通信離れ=ITあるいはICTブームとは裏腹に、学生の電子情報通信離れが進んでいると言われている。エレクトロニクスや情報通信技術なくして現代社会は成り立たず、こうした分野の研究者や技術者がいなければ、次代の産業を生み出すイノベーション創出も危ぶまれる。各大学の対応状況を入学者数等のデータをもとに議論した。

 5) 大学院教育(博士後期課程)の抜本的強化=人材育成は、第3期科学技術基本計画の基本理念の1つで、大学はもとより、大学院の質の抜本的強化が強く打ち出されている。特に、社会の多様な場で高度な知識基盤社会をリードし、活躍すべき存在であると位置づけられている博士号取得者の育成に関して、意見を交換した。

ISTyくん