活発化するソフトウェア検証の研究
第23回ソフトウェア科学会で顕著に

日本ソフトウェア科学会第23回大会

 日本ソフトウェア科学会の第23回大会が9月中旬(13~15日)、東大本郷キャンパス工学部新2号館で開かれた。情報理工学系研究科の武市正人教授が大会委員長、胡振江・助教授が運営委員長を務めた。同科学会の大会は、一般の学会と異なり、発表の持ち時間が1人30分程度と長く、じっくりと議論できる点が特徴。

 計算機システムの高性能化は、ハードウェアとソフトウェアの進歩によって支えられているが、性能などを飛躍的に高めるには、ソフトウェアの観点からは、新しい概念や方法の開発とともに、生産性や信頼性の向上が欠かせない。

 このような動向に対し、同科学会の研究発表は、特に、ソフトウェアが正しく記述されているかどうかを保証するソフトウェア検証分野が増えてきた。今回60件弱の発表件数のうち、およそ3分の1を占めるほどになった。プログラム委員長を務めた高野明彦国立情報学研究所教授は「ソフトウェアの信頼性確保がますます重要になっている証拠。文部科学省など国の研究費が多く投じられているのを反映している結果では」と話しており、今後もこの傾向は続くとみられる。

 大会の中日には、招待講演の後のポスター・デモのセッションに十分な時間を取り、懇話会へと引き継ぐ形にした。会場では、双方向変換に基づくウェブページ更新機構などのポスター・デモ10件に加え、編集委員会で検討中のソフトウェア開発そのものを研究成果として認める「ソフトウェア論文」募集についても活発な議論が交わされた。屋外広場の広々とした空間でのポスター・デモ・セッションは初めての試みだったが、出席者相互の情報交換に大いに役立ったと好評であった。

ISTyくん