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ニュース

 2007/09/25
次世代ネット「IPv6」への移行を探る
江ア教授ら、来年3月までに調査報告
投資額や実施しないときの損失も算出

IPv4アドレスの消費量と在庫
IPv4アドレスの消費量と在庫
 インターネット利用者の急増に対応するため、次世代インターネット通信プロトコル(IPv6=Internet Protocol version6)への円滑な移行が検討されている。その一環として、総務省は立ち上げた調査研究会の下部組織(ワーキンググループ=WG)で、技術的な課題の洗い出しなどを始めた。WG主査の江ア浩教授(電子情報学専攻)は、@現在のプロトコルのIPv4からIPv6に移行させることによって生じる障害は何か、A移行をソフトランディングさせるためのガイドラインづくり、B優先的に実施すべきことや人材育成の方向性―などを、2008年3月末までにまとめる予定であることを明らかにした。

 総務省がスタートさせた調査研究会の名称は「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」。2008年3月末までにIPv4アドレスの枯渇問題への対応策とともに、IPv6への移行を速やかに行う方策について検討する。一般ユーザーが安心して次世代インターネットプロトコルの環境に移行できるような、情報提供や政策ならびに施策の提言を行うことも、この研究会の重要な目的である。同研究会の座長に東京大学名誉教授の齊藤忠夫氏が就任。19名のメンバーのうち、学界からは齊藤、江ア教授ら3人だけで、あとは産業界の有識者で占められ、IPv4およびIPv6が産業界にとって大きな関心事であることを裏付けている。

 インターネットの常時接続契約数は、日本で2500万を超え、さらに拡大している。世界的にも同様の傾向にあり、このまま拡大が続けば、サーバーや端末、ドメインを特定する情報で、インターネットプロトコルの根幹を成す現行のIPv4のアドレスが、当初の予想よりも10年以上も早く、2010年か2011年には割り振るアドレスがなくなる可能性があると指摘されている。このアドレス情報の総数はワールドワイドで約43億個といわれ、2000年ごろに50%弱の在庫があったのが、2007年には18%を切るレベル(約7億7000万個)まで落ち込んだ。

 アドレス在庫の激減は、インターネットの急速な普及を示しているが、今後、企業が展開を目指している新しいサービス、たとえば、オンラインゲームなどの映像サービスやオンラインバンキング、IP電話などの普及に対応するには、新しい通信プロトコルへの移行を視野に入れる必要がある。このために、総務省は調査研究会を設け、インターネット網を新しいIPv6にスムースに移行する検討を始めた。

 IPv4のアドレスは、1983年1月から使われ始めた。IPv6のプロトコルの配備は1999年から始まり、アドレスはIPv4が32ビットで表記するのに対し、IPv6は128ビットで表す。IPv6プロトコルにするには、システム全体を128ビット対応に変える必要がある。調査研究会のWGでは、通信キャリヤーとネットワークシステムの構成、使い方など、技術的に大きな問題となる点は何か、移行に伴い必要となる投資額と、移行しなかった際に予想される損失額などを洗い出す。

 IPアドレスをはじめ、インターネット上で利用されるアドレス資源の標準化や割り当ては、米国に拠点を置く民間の非営利法人「ICANN」(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)を頂点にした階層構造で行われている。その下部組織として国単位でアドレス管理を行う組織があり、日本ではJPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)が担当している。江ア教授はJPNICの副理事長とともに、インターネットの標準化、情報提供などを行うISOCの役員も務めており、IPv4アドレスの枯渇問題とIPv6への移行については、世界の動向と国内産業界のニーズを絡めながら対応していく考えだ。「新しいビジネスが停滞することは、できるだけ避けたい」とし、「社会が混乱しないように、IPv6にソフトランディングできる道を検討していきたい」と語っている。

 このIPv6については、日本が技術・研究面で先行している。東京大学(情報理工学系研究科の平木敬教授ら)、WIDEプロジェクト(江ア教授ら)などの国際共同研究グループが、日本、米国、欧州(オランダ)の都市を折り返す約3万kmをIPv6の10Gbpsネットワークで結んでデータ転送実験を行った。その結果、極限に近い高効率で世界最高速のデータ転送に成功し、超高速インターネット利用に見通しをつけている。IPv6の整備には、国際競争力を高めながら国際協調も進めるというカジ取りも必要で、調査研究会およびWGが2008年3月にまとめる報告の内容が注目される。



インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会 構成員名簿
(敬称略、五十音順)
荒野 高志 日本ネットワークインフォメーションセンター 理事
江ア 浩 東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授
小畑 至弘 イー・アクセス CTO
角村 浩 国民生活センター 相談調査部 危害情報室 室長
國領 二郎 慶應義塾大学 総合政策学部 教授
齊藤 忠夫 東京大学 名誉教授
竹村 哲夫 日立製作所 理事 情報・通信グループ ネットワーク事業統括
土森 紀之 ケイ・オプティコム 常務取締役
得井 慶昌 NTTコミュニケーションズ 取締役 ネットワーク事業部長
所 眞理雄 ソニー 業務執行役員 SVP
内藤 俊裕 NECビッグローブ 執行役員 基盤システム本部長
中村 正孝 日本ケーブルラボ 所長( 日本ケーブルテレビ連盟 理事)
二木 均 USEN 取締役 CTO
花澤 日本電信電話 取締役 研究企画部門長
牧園 啓市 ソフトバンクテレコム 執行役員 ネットワーク本部長
水谷 幹男 パナソニック コミュニケーションズ 代表取締役 副社長
三膳 孝通 インターネットイニシアティブ 取締役 戦略企画部 部長
安田 豊 KDDI 執行役員 コア技術統括本部長
渡邊 武経 日本インターネットプロバイダー協会 会長


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