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閉会の辞
東京大学総長特任補佐・産学連携推進企画室長 石川 正俊
(この文章は当日行われた講演内容を録音したテープからおこしたものです)
司会  それでは、最後になりましたけれども、本戦略のプログラムの運営委員でもございますし、東大全体の総長特任補佐・産学連携推進企画室長という、かなり特殊なポジションにいらっしゃいます石川正俊教授に閉会の辞をお願いいたしたいと思います。
石川  ただいまご紹介にあずかりました石川でございます。ご紹介にもありましたように、東京大学には産学連携推進企画室というところがございまして、そこの室長を仰せつかると同時に、総長特任補佐ということでそれらのまとめ役を仰せつかっております。
 本日のこのシンポジウムはある意味では産学連携の一環でありまして、ソフトウェアという分野に限った話ではありますけれども、学の側のプランと産の側の現状の報告があったように思います。産の側の3人の方々のお話は非常におもしろいお話でありまして、大変興味深く拝聴いたしました。3人のご講演の方々に心よりお礼申し上げます。
 ただ、一つ、内田さん、ゆんFactory の税金がこの建物になっているというご発言があったんですが、実はこの建物は寄附で成立しておりますので(笑)、税金は使われておりませんので、ゆんFactory の売上はここに関与しておりません。今年度から、実は産学連携に関するさまざまなアクティビティに対しては、税制上の優遇政策がとられるようになってまいりました。ですので、ぜひとも儲けが出たようなことがあれば、寄附という形あるいは共同研究に対しても今減税政策がとられておりますので、共同研究の形で母校へ何らかの還元をしていただければ私の立場も非常に安定になりまして、損益分岐点の下の立場に突入する形になるかと思います(笑)。
 さて、学と産との関係というと、よく言われるのは産の側のニーズの押しつけと学の側のシーズのわがままということがあるんですが、今の時代、そういった時代ではなくなりつつあります。ニーズというものに関心を持ったシーズの開発が必要でありますし、シーズに対して、新たな芽に対して十分な探索の目を持った形でのニーズの発展ということが必要条件となりつつあります。
 特に、学のやるべきことは、その中で突拍子もないこと、5年先、10年先に花開くような技術の開発でありまして、これを実現するために必要条件が昔から言われている「学問の自由」ということであります。「学問の自由」というのは、大学の教官や学生は何をやってもいいということではなくて、自分の発想、自分の考えていることをいかに自由な世界に持っていけるか。発想をいかに自由に持っているか。これは実は努力が必要でありますし、経験も必要であります。その発想を持ちながらも、ニーズという本来的に社会に還元する道筋に自分の発想を近づけるという努力が必要であります。
 今、東京大学では全学を挙げて産学連携に取り組む姿勢を整えました。そのような整える中で、学問の自由を守りつつ、ニーズに対して関心を持ち、あるいはニーズからのオファーに対して、適切な答えを出せるような体制を整えつつあります。ぜひとも学生の方あるいは教官の方、さらには民間企業の方、ここ数年間、立ち上がりの時期ですので、関係を考えながら、進んでいっていただければと思います。
 さて、きょうは戦略ソフトウェアということでありまして、ソフトウェアはそういった中でちょっと特殊な位置にあったような気がします。大学の中でソフトウェアというものの価値の位置付けは、大学によっても大分違いますが、我々、それほど明確な位置付けをしてきたわけではありません。アカデミックな部分に位置付けた大学もあれば、非常に実際的な、実用的な部分のみを追求した大学もあります。今、東京大学のこの戦略ソフトウェア養成ユニットの中でやろうとしていることは、成果物としてのソフトウェアに新しい価値を持たせ、新しい位置付けの中で生かしていこうということであります。
 今までの学問体系の中での位置付けとは少し違った、あるちょっとした味付けを持った中で生かしていこうということでありまして、こういったものが社会の中で要求されているニーズに対して非常にマッチングのよいポジションになることを我々期待しているところであります。
 全学的にもこの人材養成のユニットは非常に新しい試みとして高く評価しておりますので、今後の発展を期待したいと存じます。
 本日は長い間、しかも大変興味あるご講演と非常に鋭いというか、厳しいご質問、ご意見をいただきましてありがとうございます。長い間、ご拝聴ありがとうございました。これで終わりにしたいと思います。(拍手)

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